子どもの未来をつくるあそび場 2015-2016
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133学童期for school-agedチャレンジをくり返して自分を知り、仲間との間で自分ができあがる時期。 乳児から幼児期が「人間になる」時期と呼べるとすれば、学童期は「自分になる」時期です。発達心理学上もこの時期を「ギャング・エイジ」と呼び、仲間との強い絆を持ちながら、親からの心理的な自立のきっかけを持つ時期として定義しています。また身体的にも6才~12才の間では身長は40cm以上伸び、体重も2倍以上になる著しい成長を遂げ、「ゴールデンエイジ(黄金期)」とよばれる、一生の中でこの時期にしか得られない、体力、筋力、持久力、バランス力といったものの基礎が育つ時期です。 この時期の子どものあそびは、どんどん多様化します。自分たちでアイデアを出しながら、独自のルールで遊ぶことができ、また「好き・嫌い」といった感情も強いです。仲間内でケンカをしたり、本格的な競技に独自のルールを作って楽しんだり、仲間内でも体力や動きに差が出てきて「あいつはこれがうまい」と憧れたり、そういった経験は誰にでもあったでしょう。そういった成長期特有の不安定さを、身体中にありあまるエネルギーを発散させるあそびを通してバランスをとるのが健康な成長といえます。 しかし、現代では体を動かす機会が減り、また「ギャング」と呼べるほど仲間との絆が強いとはいえません。その結果、諸外国と比べても「孤独感」を抱える子どもが増え、肥満傾向にある子どもの数が増えています。そしてさらに、日々膨大な量の情報にさらされる中で、知識の量と実体験の量との差がどんどん生まれているように思えます。 この時期特有の「チャレンジして成功したい」、「もっと上を目指したい」、「他とは違う自分でありたい」といった心理にうまく合致するように、遊具のデザインと機能、そしてあそび環境を作るべきです。自分たちのことを分かってくれている、そう思えた瞬間から、一生で一番、心身ともに爆発的に成長するそのエネルギーを受け止めるあそび場との、よい関係が生まれるはずです。

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