子どもの未来をつくるあそび場 2015-2016
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205 子どもたちの体力・運動能力が落ちています。また、年々肥満傾向にある子どもの数も増えています。これは一体、何を意味しているのでしょうか?この30年を振り返って、いろいろなスポーツクラブに所属する子どもは増えました。しかし、減ったのは「あそび」です。幼児期からゴールデンエイジとよばれる学童期には、「競技」のような決まった動きの繰り返しではなく、自由に柔軟に、あそびを通して体を動かすことが、強い基礎を作ることは、多くの方から指摘されていることです。文部科学省も平成24年に発信した「幼児期運動指針」の中で「体を動かす遊びには、特定のスポーツ(運動)のみを続けるよりも多様な動きが含まれます」と述べた上で、自発的かつ多様なあそび体験の必要性を訴えています。その一方で、ボールあそびが禁止される公園、塾や習い事により校庭に残って遊ぶ時間がないなど、子どもを取り巻く環境はまるで逆行しているようです。 おそらく今後、子どもが長い時間を過ごす学校という場で、からだあそびを推奨することによる変化は出てくるでしょう。しかしながら、それだけでは機会は不十分です。学校という場に限らず、それぞれの街やコミュニティの中に、自由に集い、からだあそびを楽しめる場所と機会が求められます。そうでなくては、「自発的に楽しいと思える」という状態にはなりえないからです。 またこの必要性は、成長段階の子どもだけではなく大人にも共通していることです。例えば厚生労働省の調査によると、この20年BMI値により「肥満」と言われる人の比率は、男性だけで20.4%から30.4%へと増加しています。子どもの肥満傾向も増えているので、これは全体的に増える傾向にあるといえるでしょう。 これからは、「スポーツ、トレーニング」というだけの概念から、より楽しく自発的に、長い間続けたくなる「あそびとフィットネス」が必要となるでしょう。そしてそういった人々が自由に集える場所が、ますます必要性を増すと考えられます。スポーツfor physical development自然と仲間が集い、ゲームが始まる。競い合うだけでなく、「楽しく健康に」へ向かう時代へ。50m走S60S608.75143.28.88145.09.0145.59.18146.711歳男子11歳男子11歳女子11歳女子S60S60H23H24H23H248.59.58135140145150910体重S6036.538.237.838.911歳男子11歳女子S60H24H2420.030.040.0ソフトボール投げ出典:文科省「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」S6034.029.6620.517.5411歳男子11歳女子S60H23H2310.030.00.020.040.0身長

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