子どもの未来をつくるあそび場 2015-2016
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21 子どもは、生まれてから赤ちゃん時期を過ごし、6才くらいまでの期間は、人間へと成長するとても大切な時間です。乳児期と呼ばれるこの時期、まずは基本的な身体の健康な発達、そして安全で衛生的な日々を過ごし、かつ家族の中で安心して過ごすことが何より大切です。 行動範囲が広がる1才ごろから始まる幼児期には、少しずつ自律性が高まり、できることも飛躍的に増えていきます。そして、ずっと受身だったものから、自分から働きかけ「あそび」を通してすべてを学ぶ経験がますます重要な意味を持ち始める時期です。 大人になった今も、日々の細かいことを思い出すことは困難ですが、例えば日向に干してある布団に寝転がったときの気持ちいい感触、かくれんぼで隠れる場所を必死に探したこと、時間を忘れて夢中に遊んでるうちに、気づくと日が暮れてきて寂しくなった気持ちなど、感覚的に今でも思い出せるものがあるはずです。また、そんな中から、「あの枝にぶら下がったら折れそうだ」「あそこまでは遠くてジャンプできない」「こういう風に言わないと、友だちは分かってくれない」など、生きていくための本当に基本的だけど、とても大事なことを、「あそび」の中で無数に体験し、学び取ってきています。これは一つ一つ教科書のようにまとめようとしても無理なことですし、それを子どもに学ばせることも、さらに無理なことです。自然発生的に経験するものだからこそ、幼児期ならではの好奇心と集中力で、ぐんぐんと吸収し、自分のものにしていくのです。 この時代に「あそび場」が果たす役割は、果てしなく大きい。「ここは、自分たちが好きなように遊んでいい場所だ!」と、直感的に思える遊具と環境、それさえあれば、子どもたちは自然と遊び始め、学びはじめるのです。だから、その機会を奪ってはいけないのです。現代は、思いっきり遊ぶ場所も、時間も、仲間もいない、と言われています。これは逆に言えば、子どものあそびを取り戻すために必要なものは、この3つだけだ、ということです。われわれ大人が、変わってしまった価値観を少し調整して、一生の中でこの時期にしか果たせない体験を、子どもたちのもとに取り戻しましょう。幼児期for Toddlersあそびを通して、からだの基本を育て、小さな頭で大きな学びを得る時期。

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