子どもの未来をつくるあそび場 2015-2016
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3「あそびの価値」とは 子どもを健全に、自立した人間に育てること。これが教育の目的です。世界中で暮らす肌の色も言語も違った人たちと、自分の生活を自分で支えながら、協力しながら生きていけること、そしてそのための人格を作っていくこと、それが自立した人間を作ることです。 子どもは、そのために必要な知性、社会性、感性、身体能力など、生きるための基本的な力を、毎日の「あそび」を通して身につけます。 私たちが考える「あそび」というのは、娯楽とは違います。娯楽は英語で「エンターテイメント」、あそびは「プレイ」です。あそびとは日常的なものです。娯楽は非日常的な世界です。あそびは能動的であり、自ら遊びたい、自らがその中に入り込みたいというものなのです。あそびは継続性をもって体の中に精神的にも肉体的にも蓄積されていきます。言いかえれば子ども時代に、私たちが言う「あそび」に深く関わることによって、子どもは人生を送るための基本的な知識や経験、知恵というものを得るのです。「良いあそび環境」とは 私たちは、「よいあそび道具=よい学び道具=よい育ち道具」であり、さらに「よいあそび場=よい学び場=よい育ち場」であると考えています。そして、あそび環境とは、子どもたちの健全な成長に欠かすことのできない「よい道具」と「よい場」が融合したものであるべきだと考えます。 ボーネルンド・グループを設立した1980年当時、日本のあそび環境は、どこに行っても鉄製の滑り台やブランコ、鉄棒が置かれた画一的なものでした。安全性の面の考え方も遅れて子どもたちの健全な成長のためにフランス東部・アヌシー=ル=ヴューの公園

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