子どもの未来をつくるあそび場 2015-2016
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51. 時代によるあそびの変化 日本では今、核家族化がどんどん進んでいます。国立社会保障・人口問題研究所の調査によれば、夫婦が生涯に持つ子どもの数(完結出生児数)は、2010年の調査で1.96と、はじめて2.0を下回りました。これに加え、「子ども0人」の割合もこの30年でおよそ2倍に増えています。これを子どもの環境という観点で考えると、同年齢・異年齢の子どもに混ざりながら、集団で遊ぶことが当たり前だった時代から変化し、個人・個別あそびが増えているということが言えます。あそびの場では、大人から受ける影響以上に、子ども同士で与え合う影響が大きいものです。年上の子どもが簡単にやってのけることを、自分はできずに憧れたり、年下の子どものことを気づかったり、みんなで作ったルールに沿って遊んだり、ケンカをして仲直りしたり。そこから、協力しあうことの大切さを知り、競争意識は自然と芽生えるものです。振り返れば、子どもの本当の社会は、子どもの集団の中で生まれ、広がっていたはずです。そのコミュニティが、現代では生まれにくくなっています。 2. 子どものライフスタイルの変化 個人個人の子どもを見れば、まず座ることが増え、子どもが受動的に時間を過ごすことが増えました。移動する時は車を使い、家では座ってテレビやゲームに興じる。外で思いきり全身を動かす時間が減れば、相対的に座ったままの時間が増えます。これにより、からだの筋力発達が阻害されるのはもちろん、前頭葉の発達や認知能力の発達にも影響するといわれています。そこで重要なのは、たとえ座る時間が増えたとしても、あそびの時間を多く持つことで、それらの不足を補うことです。 また、この傾向は子どもだけの話ではありません。大人の運動不足・成人病は増加の一途をたどり、国全体の医療費を押し上げています。その影響か、ランニングやジョギング、スポーツを楽しむ人も増えているようですが、一方、すべての人が特定の運動を日常的に行えるわけでも、楽しめるわけでもありません。欧米ではすでにそこに「あそび」の要素を盛り込み、近所の公園やちょっとした路地でも、気軽に楽しみながら体を動かす機会を作る試みが進んでいます。子どもも大人もフィットネスの時代へ。そこで果たす「あそび」の役割そして可能性はますます広がりそうです。子どもたちの今198219922002201019771.821.92.12.22.3198719972005<出典> 国立社会保障・人口問題研究所完結出生児数198219922002201219770.002.006.0010.004.008.0012.00198719972007<出典> 総務省統計局 学校保健統計調査11歳6歳肥満児傾向値の推移

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