子どもの未来をつくるあそび場 2015-2016
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65 MOMENTSSANDPIT水と砂を立体的なあそびに広げる。子どもにとって最高のあそび道具である砂と水。何かをつくったり、壊したり、運んだりして、遊びながら形や硬さ、重さ、湿度などを肌で感じ、その素材の性質を体験として理解していきます。その砂遊びを集中して行えるように配慮された環境づくりを実現します。通常砂場は地面を掘って砂を入れますが、コンパン社の砂場は砂を盛ってつくっています。30cmほど高いところ登ることによって、「砂場で遊ぶんだ」と気持ちが高まります。コミュニケーションがうまれる砂場、砂と水を立体的に使って遊べる砂場、砂という素材からうまれるあそびを子どもの発想次第で、いかようにでも働きかけられる環境を実現します。砂場COLUMN 砂場は子どもの年令に応じた発達課題に対して、さまざまなあそび環境を無理なく、楽しく提供してくれる重要な場所です。0才児は感覚的なあそびが中心で、砂に触る、座る、立つ、登るなど、砂との接触を通して環境と自分の体の関わりを学びます。 1才児には「砂で遊ばない砂遊び」という特徴が見られます。積み木遊びなら積み木に触りますが、1才児の砂遊びでは、砂よりもスコップなどの道具に触っている時間が圧倒的です。道具の扱いは最初はぎこちないものの何度も繰り返すうちに正しい使い方を獲得していきます。2才児になると、「砂で遊ぶ砂遊び」になります。道具よりも砂に直接触れる時間が増え、泥団子づくりなどを通して手指の巧緻性を高め、砂の変化を楽しみます。さらに年令が進むと、砂場を舞台に電車を走らせたり川を流したりなど想像力や創造性を駆使したあそびが生まれます。そして、他者との関わりのなかで、みんなで同じことをする共同作業や役割を分担しながらひとつの目的を達成する共同作業などへと進んでいくのです。 こうした活動を通して、言葉の獲得やコミュニケーション力も高まります。このように砂場は子どもの心身の発達に大きな役割を果たしています。手や体の感覚を刺激し、道具選びもでき、簡単に形が変えられるから想像力や創造性も発揮できる。砂場ほど、豊かなあそび場はありません。あそびのすべてがある砂場同志社女子大学・笠間浩幸先生

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