子どもの未来をつくるあそび場 2015-2016
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7ボーネルンドのあそび場づくり※ パースはイメージです。多目的に使える広場、遊具で遊びこめるゾーン、そして狭く探検ができるゾーンと、多様性に富んだ場が融合していることで、子どものあそびの欲求が満たされる。ビオトープをはじめ自然を残すことで、四季の移り変わりを当たり前のように感じられる空間。草むらに入れば朝露でクツが濡れ、乾いた砂地では砂埃が立つ、そんな経験が子どもに言葉では伝えられない経験を与えてくれる。遊具は360°ぐるりとアクセスできることで、はじめてその機能を果たすという考えから、ただ端に追いやることはしない。子どもの発達段階や身体能力により、明確にあそびの機能と難易度がゾーンによって分かれている。遊具、砂、草花、土、石など、一つの空間の中で多様な素材に触れることができる。全身を使うあそびから少し離れて、お話をしたり、自分のペースを整えたりする場を設ける。送り迎えの保護者は子どもが遊んでいる姿を眺めたり、先生と会話したり、さらに子どもたちが外で食事をとったりと、有機的にその機能を変えられるゾーンを設ける。園舎から眺めたときに、手前には低めの遊具があり、奥に行くほど背の高い遊具や木々、さらにはその背景に山々が見える風景を望むことができる。理想的なあそび場とは、一体なんだろう? わたしたちは、日々考え続けています。2012年、日本全国につくり上げたあそび場は392ヵ所。そのどれをとっても、同じものはありませんでした。ただし、共通して大事にしていることがあります。それは、● 子どもたちが自発的に遊び出す環境であること● 成長段階で必要な経験や思考を生み出す環境であることということです。安全であることは大前提ですが、安全なだけの環境は、本来の「あそび場」の役割を果たせないと考えています。子どもたちが自由に遊ぶ場を一つでも増やすために。そしてそれは、子どもの目線に立って、そして科学的に子どもの行動と心理を研究して作られた遊具を使うこと。さらに、そのことを熟知した設計者が、それが最大限に生きるための環境を作りだすことでしか、優れたあそび場は生まれないと考えています。そのために、時には時間をかけて、皆様の理想のあそび場を実現したいと考えています。

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