夕飯の支度をするダラーさん&ジェシカさん夫妻と先にパスタを頬張る娘のケイティちゃん(5)。
ケイティちゃんを自宅近くの水泳教室まで送り届けるジェシカさん。
スイミングのレッスン開始直前。お母さんにキスをして別れるケイティちゃん。
屋外の温泉プールでの水泳教室でレッスンを受けるケイティちゃん。
外に上がり、寒さに顔をしかめるケイティちゃん。
夫のダラーさんも迎えに来て、家路に着く3人。
自分の部屋で、着替える洋服を選ぶケイティちゃん。
食事をした後もキッチンで会話を続けるケイティちゃんとお父さん。
リビングで娘と一緒に遊ぶダラーさん。
泣いているケイティちゃんを優しく抱き上げるジェシカさん。
ジェシカさんと夫のダラーさん 、娘のケイティちゃん(5)一家は、サンフランシスコから 約16キロ北にある、マリン郡のサンラフェルで暮らしています。
ここは、住み心地が良く、ある程度の多様性と良い公立学校がある郊外の町です。夫妻は以前サンフランシスコに住んでいましたが、そこで娘を育てる余裕がなくなり、郊外に家を買うことが家族にとってベストだという決断を下しました。
フリーランス写真家のジェシカさんは、サンフランシスコのシティ・カレッジでフォトジャーナリズムを教える教師でもあります。 ダラーさんは、工事請負人として働いています。夫妻は、文化的で多様性のあるベイエリアでの暮らしを高く評価しています。また、この地域が、政治的、社会的に寛大であることも気に入っています。以前、より保守的な地域で長い間働き、生活した経験のあるジェシカさんは、「自分の信念として、自分の子どもには、あのようなところで育って欲しくない 」と言います。
ベイエリアでの子育ては大変です。非常に高い物価と交通の混雑には不満だと夫妻は言います。また、「過保護な親がたくさんいて、私は太刀打ちできません。娘にはもっと遊んで欲しい。娘の全人生の予定を組みたくありません。夫も同じ考えです。娘には幼少期を楽しんでもらいたいんです」ジェシカさんは言います。
ケイティちゃん(5)は、サンラフェル公立学校に属するコールマン小学校のキンダーガーテン*(小学校就業前に一年間通う準備スクール)に通っています。抽選制度のあるサンフランシスコやオークランドとは異なり、子どもたちは各地区の現地の学校に通います。
「都市に暮らす友人がしていること(公立学校への申し込み)をする必要はありませんでした。公立校への入学を申し込んだり、学校の見学会に参加したりすることはストレスが多い上、もし入れなければ子どもを私立の学校へ通わせる必要があります。私立学校に通わせる余裕が誰にあるでしょうか?」
サンフランシスコで暮らしている頃、ジェシカさんが教鞭を執っている週二日間は乳母を雇い、平日の残り三日間はジェシカさんがケイティちゃんの世話をしていました。しかし、それが、彼女の写真家としてのキャリアの妨げとなっていました。
サンラフェルに引っ越してからは、より人生を楽しむことができるようになりました。
夫妻は、サンフランシスコでの暮らしにお金を使う代わりに、美しい家を購入しました。現在は娘の大学の授業料を賄うために預金することができていると言います。
ケイティちゃんが3歳になった時、スペイン語が第二言語である私立でバイリンガルのモンテッソーリ・プリスクール*(幼児教育を行う学校)へ通わせることができました。
現在、5歳になり、ケイティちゃんは素晴らしい公立小学校に通っているとジェシカさんは言います。オークランドやサンフランシスコを始め、カリフォルニア州中の公立学校同様に、この学校も寄付と募金に頼っています。ケイティちゃんの学校のアート・プログラムは父母と先生の会(PTA)から資金を提供されています。放課後の学童保育にはお金がかかりますが、科学の授業などが含まれるとても良いものだと言います。
学童保育は、共働きの夫妻にとってはなくてはならないものです。サンラフェルの小学校付属キンダーガーテンは全日制ではなく、9時から1時30分までです。その後、小学校の他のクラスが終了する3時までキンダーガーテンの学童保育があり、3時から6時までの通常の学童保育にもケイティちゃんは参加しています。
ケイティちゃんのクラスメートの半分がラテン系でスペイン語を話すにも関わらず、この学校がバイリンガル教育を行っていないことをジェシカさんは残念に感じています。
サンラフェルにはラテン・アメリカ人の人口がかなり多く、民族の多様性がありますが、経済的、社会的な階級の違いはあまりなく、ほとんどの人々が中流階級だとジェシカさんは言います。
子どもと共に郊外で暮らすことは、都会に暮らすよりもはるかに楽だと夫妻は感じています。レストランは子どもに優しく、公園やハイキングコースもたくさんあります。また、ケイティちゃんが参加できる活動もたくさんあります。文化的なものに接したい時にはサンフランシスコに行けばよいのです。たとえば、一家は時々フェリーでサンフランシスコまで行き、エクスプロラトリウム博物館にケイティちゃんを連れて行きます。
アイルランドで育ったダラーさんは、ケイティちゃんに子どもとして自由な時間をたくさん持ってほしいと強く望んでいます。ケイティちゃんには兄弟姉妹が居ませんが、一家はサンラフェルで多くの良い友人を作ることができ、子ども同士もよく週末を一緒に過ごします。
「今年の夏、娘は自転車の乗り方を学びます。子どもは自転車に乗ると独立心が生まれ、娘も自分自身になることができます。 ケイティは去年、空手と水泳を習い、すでにその兆しが表れています」ダラーさんは言います。
「私たちは、娘をできる限り自由に行動させています。礼儀をわきまえ、言われたことをやるべき時にやる限り、自由にさせています」ジェシカさんは付け加えます。
「私たち夫婦は、世界中を旅して来ました。ケイティにもできる限り多く旅をして欲しいです」。
トランプ大統領の政権がケイティちゃんにどのような影響を及ぼすか、ジェシカさんに尋ねました。
「私は娘の世代を恐れています。彼女たちの世代が、この混乱を収めなければならなくなります。彼女たちが、そのツールを手にすることを願っています」。