あそびのもり ONLINE

\プレイリーダーに聞く/
多様な“好き”を広げるために
親ができること

あちこちにアンテナを張りめぐらせ、いつでも興味いっぱいの子どもたち。
さまざまなあそびを通じて、子どもの関心や興味をもっと引き出すには?知っておきたい見守り方や声のかけ方を、プレイリーダーに聞きました。

ボーネルンド
プレイリーダー育成担当 マネージャー

早川健太さん

自身も6歳、0歳児の父。「子どもの興味を広げたいなら、まずは親が楽しむ姿を見せるのが一番の近道!」

からだあそび

走ったり登ったり
できなくても大丈夫!

からだを使って元気に遊んでほしいと思う親御さんは、きっと多いですよね。運動に得意・不得意はあっても、からだを動かすこと自体は、子どもはみんな大好きなはずです。
たとえばかけっこ。早くたくさん走ることが目的ではなく、「風を受けて走るって気持ちいいね!」という心地よさをきっかけにしてみるのはどうでしょう。そうして自由に走り回るうちに、「手をこうやって振ればもっと走りやすいね!」「手と足を、交互に出すといいのかな?」と、一緒に考えると興味も広がります。木登りやジャングルジムだって、登れなくたっていいんです。チャレンジしながら「あはは、パパも登れなかったよ~!」と、一緒に笑い合えたら、それだけで100点満点だと思いませんか?
最後にひとつ、魔法の言葉をお伝えします。「よーい、どん!」。この掛け声と共に、親が走り出してみましょう。きっと子どもたちも走り出しますよ!

つくるあそび

集中して遊ぶために
必要なのは大人の〇〇

粘土やビーズ細工などの手先を使ってつくるあそびに夢中になれるポイントは「根気」です。「そうは言っても、うちの子すぐに飽きちゃって……」、いえいえ、ここでは「親の根気」の話です。
子どもが手を止めていると、つい、「赤のビーズはここだね」「もっと長くつなげてみる?」などと、口を出したくなります。でも、子どもはそこでじっくりと考えているのかもしれません。子どもの時間は、大人よりもずっとゆっくり流れていますから、まずは根気よく、次のステップを待ってみませんか。

子どもの方からヘルプサインや質問があったら、そこで初めて、手を貸してあげてください。大人は完成形をイメージできるため、子どもに失敗させないようにという気持ちが働きがちですが、そこは子どもにゆだねてみましょう。 完成したら「この色が素敵だね」など具体的な感想を伝えて。「できた!」という喜びが、次への挑戦につながります。

考えるあそび

考えるあそびは
アウトプットを大切に

パズルゲームのような思考力や観察力を育むあそび道具は親御さんにも人気です。たとえばボーネルンドの「ビルディング・シェイプ」は、丸や四角の立体ブロックを見本と同じように揃えながら、色やかたちに親しむあそびです。大人はつい、「できた!」という完成がゴールだと思ってしまいますが、子どもはそこからのアウトプットが大好きです。完成したものを、大人たちにじっくり見てもらいたいし、できた様子を自分の口で伝えたいのです。

とはいえ、子ども自身からのアウトプットは難しいですから、大人がアシストしたいもの。「赤の丸、黄色の四角、緑の丸……おお~! できたね~!」と、これだけでも十分だと思います。
子どもが得た知識や達成感を、一緒にフィードバックしながら、言葉にする。この、「考える」から「伝える」への移行が、子どもにとっては充実感や楽しさにつながるのです。

組み立てあそび

スモールステップで
少しずつ!

ブロックや積み木といった組み立て遊びは、なんといっても達成感が大切。ただしこのあそびに夢中になるには、難易度の設定がポイントです。
どんどん高く積み上げたり、自由に創作したり、そんなあそびをつい期待してしまいますが、いきなり「自由に作ってごらん」と言われても、子どもはうまくできないもの。また、子どもは難しいものに飛びつきがちですが、うまくできないと楽しくないし、くじけてしまいます。
まずは単純でわかりやすいところから一緒にやってみてください。「これってどうすればいいんだっけ?」と親が教えてもらう側の気持ちでサポートに入るのもよいでしょう。そうして、「一個くっついたね」「もうちょっと積んでみる?」など少しずつステップアップしながら、今の子どもの到達点を見極めてみてください。「ひとりで、できた!」を見守りながら、困っていたら、そっと手を貸してあげてみてください。

表現あそび

親子でいっしょに
楽しむのが一番!

歌ったり踊ったり、楽器を鳴らしたり気持ちを表現することも、子どもにとっては楽しいあそびのひとつです。
アウトプットしているという行為は、興味・関心がたっぷりそちらに向かっているという証拠。もっと引き出したい、伸ばしたいと思うなら、その芽をつまぬよう、大切に育てましょう。
たとえば歌なら、音程やリズムといった評価にとらわれないで。

それよりも、歌うって楽しいね、歌うことを楽しいと感じているあなたはすばらしいね、という思いを、どんどん伝えたいものです。
反対に、歌ったり踊ったりという表現が苦手な子もいます。無理に強要せず、大人が照れずに楽しく歌ったり、楽器を楽しんでいれば、子どもも自然と興味が向いてくることが多いようです。
子どもは「知っていること」に、安心や興味を覚えますから、保育園や幼稚園で習う歌を親も覚えて歌えば、一緒に歌いたくてウズウズするかもしれませんね。

ごっこあそび

さあ、想像の世界へ
飛び込もう

おままごとやお姫様ごっこ、戦いごっこ。子どもはごっこ遊びが大好きです。戦いなんて……と思う親御さんもいるかもしれませんが、子どものごっこ遊びは日常の延長。普段、見ているテレビや絵本の世界が、現実の隣にあるのです。 だから、ごっこ遊びで死んだ真似が飛び出したり、登場人物全員が赤ちゃんだというような、大人がびっくりするシーンがあるかもしれません。

でもそのなかで、「傷ついたら痛そうだな」「赤ちゃんってどんな気持ちだろう」と、いつもの自分とは違う立場や世界を疑似体験し、想像する心や相手を思いやる気持ちを育てていくのです。
本物そっくりのままごとキッチンのような、世界観を補完してくれるアイテムも、うまく活用するとぐんとあそびが広がります。ただし、「キッチンは料理の場所」とこだわらず、子どもが食洗機を洗濯機に見立てていたら、その世界を否定せず一緒に入り込んでくださいね。

この記事は、あそびのもりVol.60 Summer/Autumn 2023の記事です。